金子 みすゞ

      

             みすゞコスモス2 “いのち こだます 宇宙” 
     
                   矢崎節夫著
 JULA出版 あとがきより

 

     矢崎節夫:昭和22年東京生まれ。早稲田大学英文学科卒業。
     昭和57年、童謡集「ほしとそらのしたで」で、第12回赤い鳥文学賞を受賞する。
     童謡詩人金子みすゞの埋もれていた遺稿(512編)を見つけ出し、
     『金子みすゞ全集』(JULA出版)として出版、
     以後その作品集の編集、出版に携わっている。

 
「もし、ぼくがみすゞさんに出会わなかったら」と、前作『みすゞコスモスーわが内なる宇宙』で書きましたが、今も、この“もし”がずっとつずいています。
 もし、ぼくがみすゞさんに出会わなかったら、自分の側、こちら側から見、考えることしかできなかったでしょう。
 もし、みすゞさんに出会わなかったら、この世はすべてこだましあっていることにさえ、気づかなかったでしょう。
 もし、ぼくがみすゞさんに出会わなかったら、たくさんの素的な方々とお会いすることも出来なかったでしょう。
 〜中略〜
はてしなく、人は変わる機会を持っていると、今、つくづく思います。ただし、変わったと思っているうちは、本当は何も変わっていないのかもしれませんがー。
 ただ、まっすぐに、みすゞ道をあるいていけたらいいなと思うばかりです。
 自分中心、こちら側のまなざしを、むこう側へと少し変えるだけで、なんと多様な様子を、ぼくたちのまわりは見せてくれるのでしょうか。
  〜後略〜
 

このあとがきを読んで、みすゞさんの詩に興味をもたれましたか?
   なかでも、私が好きな詩を少しのせてみます。
   読んでみてください。

 

 わらい

それはきれいな薔薇いろで、
芥子つぶよりかちいさくて、
こぼれて土に落ちたとき、
ぱっと花火がはじけるように、
大きな花がひらくのよ。

もしも泪がこぼれるように、
こんな笑いがこぼれたら、
どんなに、どんなに、きれいでしょう。

 

星とたんぽぽ

青いお空の底ふかく、
海の小石のそのように、
夜が来るまで沈んでる、
昼のお星は眼に見えぬ。
           見えぬけれどもあるんだよ、
           見えぬものでもあるんだよ。

散ってすがれたたんぽぽの、
瓦のすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根は眼にみえぬ。
           見えぬけれどもあるんだよ、
           見えぬものでもあるんだよ。

 

 

みすゞさんは、26歳の若さで自ら命を絶ちま
  した。
   それまでに、いっぱい涙を流したでしょう。
   その涙のように、笑いが、もし見えるとしたら
   、、。
   しんとした思いの中に、薔薇色の花のイメージで
   こころを慰めたのでしょうか。

 

 だれでも、じぶんが嫌いな人からすかれると
   思いませんよね。
   相手の顔を見てみて!あなたがその人をどん
   表情で見ているか、わかります。
   思いはこだまします。
   水が思いに反応してきれいな結晶を作るよ
   に。

日の光

おてんとさまのお使いが
揃って空をたちました。
みちで出逢ったみなみ風、
(なにしに、どこへ。)とききました。

一人は答えていいました。
(この「明るさ」を地に撒くの、
みんながお仕事できるよう。)

一人はさもさも嬉しそう。
(私は花を咲かせるの、
世界を楽しくするために。)

一人はやさしく、おとなしく、
(私は清いたましいの
のぼる反り橋かけるのよ。)

残った一人はさみしそう。
(私は「影」をつくるため、
やっぱり一しょにまいります。)

 

 

  こだま

「あすぼう」って いうと
「あすぼう」って いう。

「ばか」って いうと
「ばか」って いう。

「もう あすばない」って いうと
「もう あすばない」って いう。

そうして、あとで
さみしく なって、

「ごめんね」って いうと
「ごめんね」って いう。

こだまでしょうか、
いいえ、 だれでも。


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